妻が再婚されたことを契機に養育費の免除を申立てたところ、調停で相手方に免除を認めさせた事例
状況
離婚するにあたって、妻が子どもを引き取ることになりました。それゆえ、現在に至るまで妻に子どもの養育費を毎月支払っていたのですが、最近になってはじめて、数年前妻が再婚し、かつその再婚相手の方が子どもと養子縁組をしていたということを知りました。私としては、これ以上養育費を払う必要はないのではないか、と疑問に感じています。
このような状況から、この方(元夫)は「これからも養育費を支払うべきか、支払う必要がないのであれば一刻も早く支払いをやめたい」という思いで、ご相談に来られました。
活動
受任後、当事務所の弁護士が相手方と連絡を取ったところ、相手方は断固として今後も養育費を支払い続けるよう主張されていました。しかし、再婚したうえ、そのお相手がお子様と養子縁組までしている場合には、法律上も原則として支払い義務を免れることになるとされているため、まずはその点につき相手方にお伝えしました。加えて、再婚および養子縁組のことをクライアントに隠したまま養育費を受領していたのであるから、その既払分について返還請求する意思があることも併せてお伝えしました。そして、交渉の甲斐もあり、最終的には「既払分については返還請求しない代わりに、今後はもう養育費を支払わない」という内容で合意に至り、調停が成立しました。
ポイント
通常、元配偶者が再婚したというだけでは当然に養育費の支払い義務はなくならず、なお継続して支払い続ける必要があります。しかし、そのお相手がお子様と養子縁組をした場合には、今後はその方がお子様に対する扶養義務を負うことになるため、原則として、従前の支払い義務は免除されることになります。本件はそのことを冷静に主張し、養育費の支払い免除を相手方に認めさせたという点において、大きな成功を収めることができたと思います。