財産分与として自宅を取得し、住宅ローンの支払を相手に負わせることに成功した事例
状況
現在、夫から離婚調停を申し立てられています。最終的に離婚になることはやむを得ないとしても、自宅の取得など、納得のいく条件でなければ応じたくありません。
このような状況から、この方(妻)は「離婚するとしても、財産分与として自宅を取得したい」という思いで、ご相談に来られました。
活動
調停ではとくに財産分与をめぐって争いとなりましたが、その際、相手方が公務員であり、退職金を受け取ることがほぼ確実であったため、その一部が共有財産に含まれるということを主張していきました。
その結果、①クライアントが単独で自宅を取得すること、②将来支給されるであろう退職金を現在受け取らない代わりに、住宅ローンすべてを相手方の負担とすること、さらには③差額分165万円を現金でクライアントに渡すことという、こちらに極めて有利な合意を取り付けることに成功しました。
ポイント
財産分与に際して、自宅を取得する側がローンの返済を引き受けるというのが最も公平であり、実際にもそのような分け方をされるケースが多いです。他方、ローンを引き受けるといっても、収入面から銀行との関係で難しいこともあり、自宅を手放すことになってしまうという方が多くいらっしゃるのも現実です。
もっとも、自宅以外にも数多くの共有財産があるという場合には、「他の財産を放棄する代わりに、住宅ローンの負担を一切することなく自宅を取得する」ということも可能です。この場合、相手方がきちんと返済を続けてくれるのかという不安が残りますが、相手方が公務員等の職に就いており、毎月安定した収入が望めるのであれば、十分に現実的な分与方法といえます。
本件はこのような手法により、ローンの負担を一切することなく自宅を獲得できたという点において、非常に良い解決となりました。