遠方の夫を相手に離婚調停を求め、一度も出頭せずに電話会議のみで離婚を成立させることに成功した事例
状況
離婚に向けて夫と協議をしていましたが、一向に話がまとまりませんでした。そこで、調停を申し立てることも考えましたが、別居後に夫が遠隔地に引っ越しており、調停期日のたびにそちらに出向かなければならないというのは経済的にも厳しいため、どうしたらよいのかわからず悩んでいる状況です。
このような状況から、この方（妻）は「遠隔地にいる相手方と円滑に離婚するにはどうしたらよいだろうか」という思いで、ご相談に来られました。
活動
受任後、当職は直ちに相手方の居住されている遠方の裁判所に調停を申し立て、また併せて「電話会議による進行」も上申しました。その結果、裁判所もその申し出を受け入れてくださり、クライアントの懸念事項であった遠隔地への出頭はなくなりました。
そして、調停当初、相手方は慰謝料として300万円を支払うよう主張されていましたが、説得の末、それを取りやめていただくことができました。また、離婚についても無事に合意に至ることができ、最終的には調停に代わる審判によって、遠方の裁判所に一度も出向かないまま離婚を成立させることができました。
ポイント
離婚調停は、原則として相手方の居住地にある裁判所に申立てを行います。他方、離婚成立のためには必ず本人の出頭が必要とされているため、相手方が遠隔地におられる場合、そこへの移動という負担を強いられることになります。もっとも、その負担を回避しうるものとして、「調停に代わる審判」という制度があります。これは、裁判官が調停における合意を前提に一方的に審判を下すというものであり、2週間以内に双方からの不服申立てがない限り、本人が出頭しなくとも離婚が成立することになります。
本件においても、電話会議で調停を進めたうえで調停に代わる審判を得ることにより、クライアントの懸念事項であった遠方への出頭をすることなく離婚を成立させることができ、その点において本件は大きな成果を上げることができたと思います。
